【説明】世界一細かい幾何学模様

今回は、サイトをリニューアルにあたりスピード重視でサイトの骨子づくりと記事を書くことを優先した結果、未だサイト内に必要な情報が不足しているように思ったので、ひとつ具体的なビジュアルアウトプットの説明を書いてみたい。今回は、現在2022年11月7日現在、7500弱のバリエーションを有する幾何学模様「Infinite loop geometric patten」シリーズの説明を簡潔にまとめていく。

なお、感覚的な領域でコミュニケーションするクリエイティブにテキストを加えていくことは、受け手の感覚的な印象を曇らせる余計な情報付与だと考えているので、可能な限り少ない情報で伝えることを目標としたい。インスタグラム上にすべての模様はアップロードしてあるので、それらをアプリ所上でみながら何かを感じ取っていただいたり、空間装飾として活用いただく入り口になっていただければと考えている。よろしければ模様のイメージも多数掲載されたPDFも閲覧いただければ幸いである。

簡単な自己紹介の内容。一応大学で建築を専攻していたということ、デジタル領域のクリエイションをやってきたことだけは、創作の入り口として公開していい内容かなと考えている。

 

大学時代は建築設計ではなく建築史と芸術理論を学ぶ研究室に在籍し、さまざまな建築を学問として見たり、視覚とプロポーションの関係について掘り下げていたのだが、今となっては大きな肥やしとなっているのは間違いなく、加えて建築と関係して存在する美術や彫刻といったアートやデザイン全般についても比較的容易に学習できたので、当時のこの選択は良かったのだと思う。その後大学院に進学したが、その当時からデジタルのデザインの仕事をはじめており、建築の研究よりもデジタルによる変わる社会の最前線にいたほうがいいのかなと思いそのまま中退、結果グラフィックとUIの企業案件は一通り経験するとともに、国内国外のクリエイティブシーンを土壌に活動したり、事業開発やスタートアップの実務を通して、自分なりの複合的かつ多面的な創造の方法論は最低限つくりあげることができたと思う。

学生時代に建築をどう設計していくのか、その際に考えていていたのは、まず「自らの視覚言語」を用いた設計をしたいということ。今でも変わらずそうなのだが、理屈を感じるアウトプットよりもシンプルにその建築の設計をした人の個性を感じるものが好みだった。当然だがどのように機能させるかといったことや、周辺との調和や社会と経済の合理性といった、システム的な正解ということも考えなくてはならないのが建築家という役割だが、そういったことよりもシンプルに、どうやったら自分という存在の延長線上にある創作物を生み出すことができるのだろうか、ということに昔も今も興味がある。幸い長い時間をかけて「自らの視覚言語」を模様というものを通して表出させることができてるようになってきたと思うのだが、それは逆にいうとある種の社会性や合理性とはかけ離れた、デザインと言うよりもアートの創作態度だと思っているので、「平面から空間の質を高める」という一言が、社会にお役に立つためにプレゼンテーションとして言葉にできる限界だと考えている。

デジタル空間においては、いわゆるフィジカルな物質空間にある素材、テクスチャといった物質特有の構成要素が欠け落ちるため、どうしても鑑賞体験をもたらす質感がフィジカルな物質空間に比べ不足しがちなことには、大いに悩まされた。そういった課題に対処するひとつの方法論として、面に装飾を施すという考え方はあるのではないかと個人的に思う反面、デジタル技術の現実としては描画や処理の問題など、テクスチャの扱いは非常にデリケートであることも事実であり、受け手や使い手の方によって実利的にどのように判断されるかはお任せしたい

ただ、自分は模様を作りたかったし、模様しか作れなかった。模様ならば自分を限りなくそのままに表現できる表現方法であったから幾何学模様のアウトプットとそれに付随することをひたすら継続している、という現実と方法論をご理解いただきたい。装飾として、そしてアートとして、空間や視覚体験の一部分を彩るエッジの効いた素材としてさまざまな活用をいただけたらと考えている。

模様を使っていただくためにはわかりやすくキャッチーな特徴が必要だと考え、「世界一細かい幾何学模様」というコピーを考えた。(現在ギネス新記録に申請中であり、後日その結果により更新予定)

記載の通り、コンセプトについては4点あり、それぞれに補足説明を用意したい。

「デジタルベジェ曲線の重ね合わせによる幾何学模様の革新と進化」

幾何学模様については、とても長い間脈々と進化をし続けてきた、デザインにおける原始的な領域のひとつである。あらゆる領域の造形物の装飾として活用され、西洋、東洋、アラブ、インド、アフリカ、そういったすべての地域で用いられる、普遍的なフォーマットであり、そのモチーフや構成については多様な発展を遂げている。若干説明が粗くなるのをお許し頂きたいが、過去多くの幾何学模様というものの多くは、手仕事であったりタイルといった素材の成約から「シンプルな線と塗り」「明快な画面の分割」が特徴であったと思われる。私自身はデジタル技術のメリットである「線を重ねることが容易」というところに着目し、積極的にデジタルツールを受け入れ過去にない表現を模索し続けている。その中で、その線を重ねることで表れる「線の干渉」がもたらす新しい感覚、そして焦点距離が変化することで微妙に変化するというビジュアルの不思議な感覚に魅了されたのだが、過去の模様にはそういった特徴はないのではないかと思う。

「造形理論と数理に基づいたシステマティックな画面構成」

個々のクリエイターが、それぞれの方法論で表現を生み出していると思うが、私は「簡単な数学のような明快さと普遍性」を内包した視覚表現を常に模索している。ミクロな物質、そしてマクロでの宇宙、そして枠組みとしての時空間、そういったものに等しく存在するロジックが、数の世界にあるのでないかと考え、そのロジックを抽出し視覚表現として表すようにしている。同じような方法論として、デジタル以降に登場した「ジェネレーティブアート」などのプログラミングやアルゴリズムを用いたビジュアル構築の世界観があるが、自分はプログラムで幾何学模様を創作しているわけではないので、今の所ジェネレーティブアートの枠組みにはないと考えている。

「構成要素を極限まで排除したソリッドな世界観」

構成要素とはなにかを説明するためには、バウハウスからウルム造形大学において体系化された造形理論の説明が必要になるが、それは幾何学模様の説明とは別に用意したいので割愛する。シンプルに説明すると、視覚表現を構成するのは「造形の要素」と「造形の秩序」の2つにわけられる。前者の「造形の要素」は、おおまかに「かたち」「いろ」「うんどう」「ひかり」「そざい」「もじ」というものがあり、それらをいかに組み合わせるが後者の「造形の秩序」と呼ばれる、調和やコントラスト、バラエティ、リズムやプロポーションという「つなげかた」のロジックである。私の場合、幾何学模様をつくるにあたって唯一「かたち」にのみフォーカスした。そしてそのかたちの中にもいろいろな定義があるのだが、「幾何学形態」にのみを使うようにした。幾何学形態は普遍的なかたちであり、そこに人間の感性や手業が入り込む余地がない、数字のようなものである。その「かたち」の中の「幾何学形態」だけに絞ることで「造形の秩序」すなわち「秩序から浮かび上がる無限の美」を表現しよう、というのが私の幾何学模様制作の基本的な設定である。そしてその秩序を構築するために、先述の「数理に基づいた構成」という方法論で挑んでいるということになる。

「禅仏教や易の数理システムなど、東洋思想に立脚した表現」

自分を表現しようと思ったときに、生まれ育った土地そして自らの内包するDNAといった存在の影響から逃れることができないと思うのだが、私の場合も過去長く西洋的文脈で語られる芸術、美術そして科学全般といったものの存在は、ひとつの世界文化の幹なのだが、自分はどうしても違和感が拭えず、またその違和感を言語化しようにもできず苦しい時期を過ごしてきた。そういった乖離を埋めるために、私は2つの方法で自らを納得させるようにバランスを取ったのだが、それが「西洋や東洋といった文脈の背景にある共通項、普遍的な内容に視点をずらす」ということ、そして「自らの思考や身体を成り立たせている流れを受け入れるということである。前者の場合は「数の世界を追求する」こと、後者は「東洋哲学や思想、生活観を学び直す」ことである。そうやって世界の中のパワーバランスの影響を排除しつつも、自らの存在を成立させる環境は最大限受け入れるという方法で表現をしようと考え創作の設定を組み立てていったのだが、不思議なことに数の世界に気付かされたのは東洋哲学、特に易や五行哲学といったものを突き詰めていくと、西洋科学の根幹にたどり着くことができる、ということに時間をかけて感覚的に気づけたことが大きい。具体的に模様の創作においては、数のロジックを基本設定としながら、東洋的世界観のエッセンスでの造形の組み立て、そして良いかどうかの判断基準をするようにしている。具体的には日本で独自進化した禅仏教や日本古来の神道、アニミズム、そして中国から渡来した暦、五行哲学や易学といったものの影響が大きいのだが、その説明は後日詳しく書いていきたい。

特徴や利用については、自分が気づいた点だけ抜粋しているが、NFTであったり仮想空間への展開といったものがイメージしやすいのではないかと思う。また「世界一細かい幾何学模様」ということで、以前から転写技術による物質化の精細な表現追求との融和性が高いことは把握しているので、「細かさを極める」というかたちでのコラボレーション、それらの空間装飾への展開というシナリオは実現可能性が高いと考えている。

補足資料:

>説明資料の格納先: Google Drive

以上、あくまで幾何学模様”Infinite loop geometric pattern“をご理解いただくための、可能な限り簡単かつ簡潔な補足説明として、模様群を見ながら創作者の思考を追体験いただいたり、新しい発見や気づきにつなげていただければ幸いである。

本日のタイトル画像:

Infinite loop geometric pattern No.6580
リンク: 
Instagram @sugitad1